保護犬・保護猫を迎えたら始めたい「記録」
心を開いていく過程こそ、残す価値がある

写真文化・記録

ゆるかわタッチで描いた保護猫のイラスト

保護犬・保護猫を迎えた最初の数週間は、うれしさと同じくらい、とまどいがあります。隠れて出てこない、目が合わない、ごはんを食べない。そんな日々のあとに、ある日ふっと距離が縮まります。その過程は、いま記録しておかないと残りません。この記事では、無理のない範囲で始められる記録のしかたをまとめました。

いちばん残す価値があるのは「変わっていく途中」

写真というと、かわいく撮れた1枚を思い浮かべます。でも保護犬・保護猫を迎えたおうちで、あとから何度も見返されるのは、じつはまだ心を開いていなかったころの写真だと言われます。

ケージの奥でこちらを見ている顔。ソファの下からのぞく前足。近寄ると固まってしまう背中。当時は不安でいっぱいで、撮る気にもならないかもしれません。それでも1年たったころ、その写真がここまで来たんだという証拠になります。

はじめから懐いていた子には、この記録は作れません。時間をかけて距離を縮めた子だけが持てる、特別な記録です。

初日は、無理に撮らない

まず大前提として、迎えた日から数日は、写真より環境を優先してください。知らない場所に来たばかりで、まわりの音もにおいもぜんぶ初めてです。そこにカメラやスマホを近づけると、こちらに向かって近づいてくる大きな物体として受け取られることがあります。

遠くから、ズームを使わずに

撮るとしたら、部屋の反対側から。近づく代わりにズームを使う方法もありますが、スマホのズームは画質が落ちます。それよりも広く写しておいて、あとで切り取るほうがきれいです。部屋の様子ごと残るので、当時の環境も分かります。

シャッター音とフラッシュを切る

シャッター音は、慣れていない子にとってはっきりした刺激になります。マナーモードで消えない機種もあるので、事前に確認しておいてください。フラッシュは、まぶしいだけでなく、目に負担がかかることがあります。使わないでください。

撮れなかった日は、文字で残す

どうしても撮れない日は、メモだけでかまいません。今日は水を飲んだ、押し入れから出てこなかった、夜に足音がした。ひとことのメモが、あとで写真と同じくらいの記録になります。

隠れている姿こそ、撮っておく

多くの方が、隠れている姿は撮らずに、出てきた日から撮りはじめます。それはとても自然なことですが、少しもったいない選び方でもあります。

家具のすきま、カーテンの裏、キャリーの奥。そこにいる小さなかたまりの写真は、あとで見ると物語の第1章になります。顔が写っていなくてもかまいません。しっぽの先だけ、耳だけでも記録です。

撮るときは、しゃがんで低い位置から。立ったまま上から撮ると、隠れている子にとって圧が強くなります。腕だけを伸ばして、画面を見ずに撮る方法も使えます。暗い場所にいることが多いので、明るさの調整のしかたはスマホでの撮り方の記事も参考にしてください。

はじめての日を、ひとつずつ数える

保護犬・保護猫との暮らしには、「はじめて」がたくさんあります。それを日付つきで残していくと、そのまま成長の記録になります。

  • はじめてごはんを食べた日
    人が見ていない場所でだけ食べる時期もあります。減った器だけでも記録になります。
  • はじめて自分から近づいてきた日
    手のにおいを嗅いだ、足もとを通った。この日は必ずメモしてください。
  • はじめてお腹を見せた日
    安心していないとできない姿勢です。大きな一歩の日です。
  • はじめて名前に反応した日
    耳がこちらを向いた瞬間。動画のほうが残しやすい場面です。
  • はじめて家族以外の人に会えた日
    無理をさせず、平気そうにしていたときだけ。

この一覧は、その子によって順番も内容も変わります。当てはまらない項目は飛ばして、そのおうちの「はじめて」を足していってください。

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表情がゆるむまでの変化を追う

緊張している子の顔には、いくつか共通した特徴があります。ひげが前に張る、目が丸く見開いている、耳が横か後ろに倒れている、口がかたく結ばれている。これがゆるんでいく過程が、心の変化として写真に写ります。

変化はゆっくりなので、日々の中では気づきにくいものです。1か月おきに、顔の写真だけを並べてみてください。同じ子とは思えないくらい、目つきがやわらかくなっていることがあります。

並べやすくするために、顔の写真だけを入れるアルバムを1つ作っておくと便利です。スマホのアルバム機能で「顔だけ」というフォルダを作り、月に1枚ずつ入れていくだけで、あとから比較できる並びができあがります。

変化がゆっくりでも心配しすぎないでください

数か月かかる子も、年単位でゆっくり慣れていく子もいます。ごはんを食べない、体重が減っている、下痢が続くなど体調に関わることは、待たずに動物病院に相談してください。

記録が、家族の支えになる

保護犬・保護猫を迎えたおうちでは、途中で不安になる時期があります。この子は自分になついてくれるんだろうか、迎えたことは正しかったんだろうか。まわりに相談しづらい気持ちでもあります。

そんなとき、3か月前の写真を見返すと、たしかに前へ進んでいることが分かります。記録は、その子のためだけでなく、迎えた側の支えにもなります。日々の中では見えない変化を、写真は覚えていてくれます。

書く記録も同じです。1日1行でよいので、その日のことを残しておくと、あとで読み返したときに支えになります。続け方は育犬日記・育猫日記の記事にまとめました。

SNSに載せるときに考えたいこと

保護犬・保護猫の日々を発信することには、いい面がたくさんあります。同じ状況の方の参考になりますし、保護活動を知ってもらうきっかけにもなります。そのうえで、載せる前に確認しておきたいことがいくつかあります。

写り込みに気をつける

背景に、家の表札、郵便物、窓の外の景色、通っている動物病院の名前などが写っていないか確認してください。うちの子の写真は、まわりをよく見ずに撮ることが多いので、意外なものが写り込みます。

保護元との約束を確認する

団体や個人の保護主さんによっては、譲渡の条件として、公開の範囲について取り決めがある場合があります。前の飼い主さんに関わる事情がある子もいます。迷ったら、載せる前に一度確認してください。

過去のつらい話を、どこまで書くか

その子がどんな状況から来たかは、伝えるかどうか迷うところです。無理に書かなくてよいですし、書くとしても、見る人がつらくなりすぎない形にとどめるという選び方もあります。いまその子が安心して暮らしていることのほうが、伝わってうれしい情報です。

顔を出したくないときは、イラストという手もある

写真をそのまま載せることに抵抗がある場合、イラストにして載せるという方法があります。アニマル日和のゆるかわタッチは2頭身のちびキャラなので、その子らしさは残しつつ、背景や生活感は写りません。アイコンとして使う場合の大きさの目安はアイコン用の記事にあります。

よくある質問

来た日の写真がありません。もう手遅れですか

そんなことはありません。記録は、始めた日からで大丈夫です。今日の1枚が、1年後には「はじめのころ」の写真になります。保護元からもらった譲渡前の写真が手もとにあれば、それを最初の1枚にする方法もあります。

写真がぼやけたものばかりです

遠くから撮った写真は、どうしてもぼやけがちです。イラストにするときは、顔の輪郭と毛色、耳の形が分かれば作れることが多いので、まずは手もとの写真で相談してみてください。写真選びの考え方はこの記事で説明しています。

推定年齢しか分かりません

保護された子では、正確な生年月日が分からないことがよくあります。おうちに来た日を記念日にしているご家庭が多いようです。その日を毎年の区切りにして、1年に1枚ずつ記録を残していくのもすてきな方法です。

さいごに

距離が縮まるまでの時間は、その子によってまったくちがいます。焦らないでください、という言葉はよく聞きますが、実際にはやっぱり焦ります。だからこそ、記録という形で前に進んでいる証拠を手もとに置いておくことに意味があります。

アニマル日和では、はじめての方にうちの子のイラストを1枚無料でお作りしています。まだ緊張しているころの1枚と、慣れてからの1枚を、それぞれイラストにして並べている方もいます。よければ、記録のひとつとして使ってみてください。

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