ペットの絵の描き方入門
絵心ゼロでも、丸を2つ描くところから始められます

うちの子を自分で描いてみたい。でも、絵なんて学生時代からまともに描いていない。そんな方に向けて、丸を2つ描くところから始められる手順をまとめました。目指すのは写真そっくりの絵ではなく、2頭身のちびキャラです。かたちを整えるルールさえ知っていれば、うまい下手はあまり関係なくなります。用意するものは紙とペンだけ。うまく描けなくても大丈夫なように、順番とコツを書いていきます。今日から1枚、気楽にどうぞ。
この記事の内容
「絵心がない」の正体は、たいてい手順を知らないだけ
うちの子を描こうとして、いきなり顔の輪郭から描き始めて、途中で「なんか違う」となって紙を裏返す。よくある挫折の仕方です。でもこれは、絵の才能の問題というより、描く順番を知らないことのほうが大きいと思います。
写実的な絵、つまり写真そっくりに描く絵は、たしかに練習が要ります。でも2頭身のちびキャラは違います。かたちが単純なぶん、押さえるところが少なく、ルールで作れる部分が多いのです。この記事では、そのルールを7つの手順にほどいてご紹介します。
ちなみにこれは、アニマル日和がうちの子イラストを描くときの考え方を、そのまま一般向けにひらいたものです。同じ手順をなぞれば、雰囲気の近いものが描けます。まずは1枚、気楽にやってみてください。
用意するもの
凝った道具は要りません。むしろ最初は、道具を増やさないほうが続きます。
- 紙とペン
コピー用紙とボールペンでじゅうぶんです。鉛筆だと消せるぶん、消しすぎて進まなくなることがあります。 - お手本になる写真
うちの子の写真を1枚、スマホに出しておきます。顔が大きく写っているものが描きやすいです。 - 無料のお絵かきアプリ(あれば)
スマホやタブレットの無料アプリでも構いません。指でも描けます。やり直しがきくのが利点です。 - こげ茶と、うちの子の毛色のペン
色を塗るところまでやるなら、この2色があれば足ります。後半で理由を書きます。
お手本の写真は、正面か、少し斜めを向いているものがおすすめです。真横や真上からの写真は、耳や鼻の位置が分かりにくく、最初の1枚には向きません。写真がうまく撮れないときはスマホでの撮り方もあわせてどうぞ。
手順1:丸を2つ描く。ここで9割決まります
最初にやることは、丸を2つ描くだけです。上が頭、下が体。この2つの丸の大きさの比を1対1にすると、いわゆる2頭身のちびキャラになります。頭が体と同じ大きさ、というのが、かわいく見えるいちばんの近道です。
きれいな正円でなくて大丈夫です。むしろ少しゆがんでいるほうが、手描きらしいやわらかさが出ます。下の体の丸は、ほんの少しだけ横につぶすと、座っている感じが出ます。上下の丸は、少し重ねてください。首を描かないほうが、まるっとした印象になります。
ここでよくある失敗は、頭を小さく描いてしまうことです。実物の犬や猫の比率で描くと、頭は体の3分の1くらいになります。それは正しい比率ですが、ちびキャラにはなりません。思っているより頭を大きく。迷ったら、頭のほうを少し大きくするくらいでちょうどよくなります。
手順2:耳のかたちで、その子らしさが決まる
2つの丸のあと、次に描くのは耳です。目でも鼻でもなく、耳。ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。うちの子らしさは、目より耳に出ます。
考えてみると、犬も猫も、目のかたちは種類が違ってもそれほど大きくは変わりません。でも耳は、ぴんと立っている、たれている、片方だけ折れている、丸い、とがっている、と大きく違います。シルエットだけ見て「あ、うちの子だ」と分かるのは、たいてい耳のおかげです。
だから耳は、写真をよく見て描いてください。立ち耳なら、根元の位置がどのくらい上か。たれ耳なら、どこまで長く垂れているか。片方だけ向きが違う子なら、その違いを残す。ここだけは省略せず、実物に合わせるのがおすすめです。
迷ったら、少し大げさに
ちびキャラは全体が小さくまとまるので、耳の特徴は実物より少し大げさにするくらいで、ちょうど「その子らしく」見えます。とがった耳はもう少しとがらせる、丸い耳はもう少し丸く。
手順3:目は大きめに、左右を広くあける
目は、思い切って大きめに描きます。頭の丸の中で、けっこうな面積を占めるくらいで大丈夫です。かたちは黒い楕円ひとつで足ります。まつげも、細かい光の反射も、最初のうちは要りません。
もうひとつ大事なのが、左右の目の間を広くとることです。目と目が近いと、大人っぽく、少しきつい表情になります。離すと、あどけない、やさしい印象になります。赤ちゃんの顔がかわいく見えるのと同じ理屈です。
位置は、頭の丸の中央より少し下。上のほうに描くと、顔が間のびして見えます。左右の高さは、そろえようとしすぎなくて大丈夫です。ほんの少しずれているほうが、生きている感じが出ます。
黒目の中に、白い点をひとつ
余裕があれば、黒い楕円の中に、小さな白い点を左右そろえて入れてみてください。それだけで目に光が入って、ぐっと生き生きします。白いペンがなければ、黒く塗るときにそこだけ塗り残せば大丈夫です。
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手順4:鼻と口は、小さく控えめに
目を大きく描いたぶん、鼻と口は小さくします。ここで大きく描いてしまうと、顔がぎゅっと詰まって、かわいさが逃げます。鼻は小さな三角か丸ひとつ、口は短い線を2本、というくらいで足ります。
口は、鼻のすぐ下に。犬猫らしい「w」のかたちにしてもいいですし、単純に短い横線1本でも成立します。開けた口を描きたいときは、小さめの楕円をひとつ足すだけ。舌を出している子は、ピンクの小さな丸を口の下に足すと、それらしくなります。
鼻の位置は、左右の目のちょうど真ん中で、目より少し下。ここがずれると、一気に別の子に見えてしまいます。うまくいかないときは、目と鼻で三角形ができているかを確認してみてください。
手順5:ほっぺに丸を入れると、かわいくなる
これは魔法みたいに効くコツです。目の少し下、顔の左右に、うすい色の丸をひとつずつ入れてください。色はコーラル(少しオレンジがかったピンク)が合います。それだけで、絵の印象がやわらかくなります。
理由は単純で、ほっぺの丸は「照れている」「あたたかい」という感じを見る人に伝えるからです。線のかたちを何も変えていないのに、絵の温度が上がります。アニマル日和のイラストにほっぺの丸が入っているのも、同じ理由です。
気をつけるのは、濃く塗らないことと、はっきりした輪郭で囲まないことです。うすく、ふわっと。境目がぼんやりしているほうが、頬の赤みらしく見えます。色鉛筆なら、力を抜いて2、3回なでるくらいで足ります。
手順6:線は黒ではなく、こげ茶にする
ここも、知っているだけで仕上がりが変わるところです。輪郭の線を真っ黒で描くと、絵がきりっと引き締まるかわりに、少し硬く、強い印象になります。同じ絵をこげ茶の線で描くと、やわらかく、あたたかい印象になります。
これは、真っ黒が自然界にあまりない色だからだと言われています。動物の毛や木や土の色に近いこげ茶のほうが、目になじむ。理屈はともかく、実際に描き比べてみると、違いはすぐ分かります。ぜひ一度、同じ絵を黒とこげ茶で描いてみてください。
黒い毛の子を描くときも、輪郭はこげ茶にして、毛の中だけを濃く塗るとうまくいきます。全部真っ黒にすると、目も鼻も見えないかたまりになってしまいます。この考え方はゆるかわイラストが選ばれる理由でもう少しくわしく書いています。
手順7:色は塗り分けを減らして、フラットに
最後は色です。ここでのコツは、使う色を減らすことと、グラデーションをつけないことです。毛の1本1本を描き分けたり、光の当たり方を細かく塗り分けたりすると、かえって散らかって見えます。
うちの子の毛色を1色決めて、体全体をその色でべたっと塗る。模様がある子は、大きな模様だけを別の色で入れる。それで足ります。三毛猫でも、3色をきれいに分けるのではなく、大きなかたまりを3つ置くイメージです。
影をつけたいときは、1段だけ。おなかの下、あごの下、耳の裏。この3か所に、毛色より少し濃い色をうすく置くと、立体感が出ます。2段、3段と重ねると難しくなるので、まずは1段で止めてください。
うまく見せる、3つのちょっとしたコツ
線を1本で引き切らない
長い線をきれいに1本で引くのは、慣れていないと難しいものです。短い線を重ねて輪郭を作るほうが、手描きらしい味が出て、失敗も目立ちません。ふるえた線は、むしろやさしく見えます。
少し斜めに立たせる
体をまっすぐ正面に描くと、証明写真のようになります。体の丸をほんの少し斜めにする、顔をわずかに傾ける。それだけで、動きと表情が出ます。
背景は描かないか、丸ひとつだけ
背景を描き込むと難しくなります。白いままにするか、うちの子のうしろに大きなうすい丸をひとつ置く。それだけで絵がまとまって見えます。丸の色は、毛色と相性のいいうすい色を選んでください。
続けるためのコツ
1枚描いてみて、思ったより下手だった、と感じても大丈夫です。最初はみんなそうです。うまくなるコツは、上手に描くことではなく、同じ子を何回も描くことです。3枚目くらいから、耳や目の位置の「うちの子らしい正解」が手に入ってきます。
描いたものは捨てずに、日付を書いて残しておいてください。並べると、少しずつ変わっていくのが分かります。日々のできごとと一緒に書きためるなら、ペットの記録の残し方もヒントになるかもしれません。
お子さんがいるご家庭なら、いっしょに描くのもおすすめです。子どもは比率を気にせず描くので、大人より思い切った、いい絵になることがよくあります。子どもとペットの記録の記事もどうぞ。
描けた絵は、飾ってしまうのがいちばんです。冷蔵庫でも、玄関でも。飾ると次を描きたくなります。飾り方のアイデアはこちらにまとめています。
さいごに
手順をならべると長く見えますが、やっていることは「丸を2つ描いて、耳をその子の形にして、目を大きく離して、鼻と口を小さく、ほっぺに丸、線はこげ茶、色はべた塗り」。それだけです。覚えることは、じつはこの一文で足ります。
自分で描いた絵には、うまさとは別のよさがあります。ゆがんだ線も、ずれた目の高さも、あとから見ると全部いとおしい。ぜひ気楽に、1枚描いてみてください。
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