ペットと引っ越しするときの工夫
不安をやわらげる準備と、残しておきたい記録

写真文化・記録

ゆるかわタッチで描いた、段ボール箱に入る猫のイラスト

引っ越しは、人にとっても大仕事です。うちの子にとっては、説明のないまま、いきなり世界がまるごと入れ替わる出来事になります。この記事では、不安をやわらげるための準備と、前の家でしか撮れない写真の残し方をまとめました。どちらも、当日になってからでは間に合わないことばかりです。

うちの子にとって、引っ越しは何が起きているのか

犬も猫も、においと音と、床のさわり心地で自分の場所を覚えていると言われます。引っ越しでは、その全部が同時に変わります。しかも本人にとっては、いつ終わるのかも、なぜそうなったのかも分かりません。

とくに猫は、場所に強く結びついた暮らし方をする動物です。引っ越しのあと数日は隠れて出てこない、ごはんを食べない、といったことがよく起こります。犬でも、そわそわが続いたり、夜に落ち着かなくなったりします。

だからやることは、ひとつだけです。変わらないものを、できるだけ多く持っていく。準備の中身は、ほとんどこの一言に集約されます。

においのついたものは、最後まで残す

荷造りをしていると、使っていない毛布やベッド、ぼろぼろのおもちゃから片づけたくなります。ここだけは、逆にしてください。うちの子のにおいがついたものは、いちばん最後に箱に入れます

洗わずに持っていく

新居にきれいなものを、と思って洗いたくなりますが、においが消えると、その子にとっては別のものになってしまいます。ベッド、毛布、タオル、お気に入りの布。少なくとも1つは、洗わずにそのまま運んでください。

トイレは同じものを使い続ける

引っ越しを機に、トイレや猫砂を新しくするのはおすすめしません。新居で使うトイレは、前の家と同じものを持っていってください。新しくしたい場合も、落ち着いてから少しずつ変えるほうが安全です。

段ボールは、少しずつ増やす

ある日いきなり部屋が箱だらけになると、それだけで不安になります。数日かけて少しずつ増やしていくと、変化がなだらかになります。猫の場合、箱に入って遊ぶ子もいるので、遊んでいるうちはそっとしておいてください。

引っ越し当日の預け先を決めておく

当日は、玄関が開けっぱなしになり、知らない人が出入りし、大きな音が続きます。逃げ出す事故がいちばん起きやすいのが、この日です。

できれば、当日だけどこかに預けてください。ペットホテル、動物病院の預かり、信頼できる家族や友人の家。どこも難しい場合は、荷物を出さない1部屋を決めて、そこに入ってもらい、扉に貼り紙をしておく方法があります。この部屋は開けないでください、と書いておくだけで、事故はかなり防げます。

移動の前に確認しておきたいこと

長距離の移動や、車・飛行機での移動が不安なときは、事前に動物病院で相談してください。持病がある子、シニアの子、車に酔いやすい子はとくに、移動の方法について獣医さんの意見を聞いておくと安心です。

新居には、先に慣らしておく

可能であれば、引っ越し前に新居へ連れていって、少しだけ過ごしてもらえると理想的です。難しい場合も、次の順番で慣らすと落ち着きやすくなります。

  • まず1部屋だけ
    新居に着いたら、家じゅうを自由にさせず、1部屋だけを最初の居場所にします。
  • その部屋に、前の家のにおいのものを置く
    ベッド・毛布・トイレ・食器。配置も前の家に近づけると、より落ち着きます。
  • 出てきたら、範囲を広げる
    自分から部屋を出たがるようになったら、隣の部屋へ。焦って広げないでください。
  • 窓とベランダの確認を先に
    網戸のすきま、ベランダの手すりの間隔。新居で真っ先に見るべき場所です。
  • 迷子札と住所の更新
    迷子札の住所、マイクロチップの登録情報を、新居の住所に変えておいてください。
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前の家でしか撮れない写真を残す

ここからは記録の話です。引っ越しの準備でばたばたしていると、まず思いつかないことなのですが、前の家での写真は、引っ越したあとは一枚も撮れません

多くの方が、荷物を運び出したあとの空っぽの部屋を撮ります。それも記念になりますが、うちの子と暮らした家として残すなら、まだ家具がある状態で撮っておくほうが、あとで見返したときに思い出せます。

お気に入りだった場所

いつも寝ていたソファの端、日が当たる窓辺、なぜか気に入っていた洗面所の前。その子がいつもいた場所に、その子がいる状態で1枚撮ってください。空間だけを撮っても、あとで見ると意味が伝わりません。

傷やあとが残っている場所

柱の爪あと、かじられた家具の角、擦れて薄くなった床。原状回復で消えてしまうものです。困らされた記憶とセットになっているので、あとで見返すと必ず笑えます。

最後の散歩コース

犬と暮らしている方なら、これは強くおすすめします。いつものコースを、いつもの時間に歩いて、途中の景色を何枚か撮ってください。よく立ち止まっていた電柱、あいさつする犬がいた家の前、折り返し地点の公園。本人の後ろ姿もいっしょに入れておくと、記憶がよみがえりやすくなります。明るい時間に、しゃがんで撮ってください。基本の撮り方はスマホでの撮り方の記事にまとめています。

玄関での1枚

その家に来た日にも撮っていた方なら、同じ玄関で最後の1枚を。並べると、その家で過ごした年月がそのまま写ります。

新居での最初の一枚

新しい家に着いた日は、片づけで手いっぱいです。それでも1枚だけ、撮っておいてください。段ボールに囲まれた中にいる姿は、その日にしか撮れません。

落ち着かない顔をしていて構いません。むしろ、その不安そうな顔があとで効きます。数か月後、新居でくつろいでいる写真と並べると、ちゃんと慣れたことが分かります。

そして、新居でも定点の場所を決めてください。前の家でやっていた方は、似た場所を選ぶと、写真の並びが途切れません。定点の作り方は迎えた日からの記録の記事で詳しく書いています。

落ち着くまでの様子を、記録しておく

引っ越しのあと、いつごろ落ち着いたかを覚えている方は、あまりいません。毎日見ていると、変化が分からなくなるからです。

1日1行でよいので、様子をメモしておいてください。今日はベッドから出てきた、3日ぶりにごはんを完食した、はじめて別の部屋に行った。あとで読み返すと、思っていたより早く慣れていたと分かります。書き方は育犬日記・育猫日記の記事にまとめました。

なお、食べない日が続く、水を飲まない、隠れたまま出てこない日が長いといった場合は、待たずに動物病院に相談してください。とくに猫は、食べない状態が続くと体に負担がかかることがあると言われます。引っ越し先の近くの動物病院は、引っ越す前に調べておくと安心です。

よくある質問

前の家の写真をあまり撮っていませんでした

カメラロールを日付でさかのぼると、意外と写っています。うちの子を撮った写真の背景に、前の家がしっかり残っているはずです。背景ごと残っている1枚を探してみてください。

前の家の思い出を、形にして残せますか

お気に入りだった場所で撮った写真をイラストにして、新居に飾っている方がいます。アニマル日和のゆるかわタッチは2頭身のちびキャラなので、部屋の雰囲気になじみやすい絵になります。飾り方はこの記事を参考にしてください。

引っ越し先が決まっていない段階で、何かできますか

いまの家での写真を、少し多めに撮っておくことです。とくに、いつもいる場所での日常の1枚。決まってから撮ろうとすると、たいてい間に合いません。

さいごに

引っ越しは、家族の暮らしが変わる区切りです。うちの子にとってもそれは同じで、前の家での日々には、ちゃんと終わりが来ます。だからこそ、その家で過ごした時間を、少しだけ形にして持っていってください。

アニマル日和では、はじめての方にうちの子のイラストを1枚無料でお作りしています。前の家のお気に入りの場所で撮った写真を送ってくださる方もいます。新しい家の壁に、その1枚を飾ってみてください。

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